週4日勤務・週休3日にしたときの給与の決め方は、日数比例型・役割給型・ハイブリッド型の3つに分かれます。どれが正解ということはありません。ただ、私たちが週4日・時短の求人を掲載前に確認していて気づくのは、決め方が求人票から読み取れない募集ほど応募が鈍るということです。この記事では、3つの型の違いと年収800万円での計算例、応募が鈍る本当の理由、求人票に書くべき4点を整理します。
週4日勤務の給与は「日数比例型」「役割給型」「ハイブリッド型」の3つの型で決まる。年収800万円の週5日職を週4日にすると、それぞれ640万円・800万円・660万円になる。
日数比例型は所定労働日数の比(週5日→週4日で0.8)で決める型、役割給型は役割と成果で決めて日数では変えない型、ハイブリッド型は基本給を比例させて役割手当を据え置く型です。求職者側の不安の1位は「収入」で、厚生労働省の調査では時短などを利用した女性正社員・職員の54.2%が収入への不安を挙げています(日本経済新聞 2026年8月31日朝刊の報道による)。求人票に給与の決め方が書かれていないと、この不安がそのまま応募のブレーキになります。
- 日数比例型
- 週5日の給与 × 4/5。分かりやすいが、優秀層には「時間で買われている」と映ることがある
- 役割給型
- 給与を変えない。時間単価は25%上がるので、週5日の社員への説明が要る
- ハイブリッド型
- 基本給は比例、役割・職務手当は据え置き。管理職・マネージャーに多い
先に決めるのは「時間をどう減らすか」
給与の話に入る前に、ひとつ手前の分岐があります。週休3日と呼ばれる制度は、働く時間の減らし方で3つの別物に分かれます。ここを混ぜると、給与の型も選べません。
| 減らし方 | 中身 | 総労働時間 | 給与の考え方 |
|---|---|---|---|
| 日数を減らす | 週4日勤務・週休3日。1日の所定時間はそのまま | 減る(8時間×4日=32時間) | 下の3つの型から選ぶ |
| 日数を減らし、1日を長くする | 1日10時間×4日など。変形労働時間制を使う型 | 変わらない(40時間) | 据え置きが自然。時間が減るわけではない |
| 時間を減らす | 時短正社員。日数は週5日のまま1日の所定時間を短くする | 減る | 所定時間の比で按分する型が一般的 |
この記事で扱うのは、主に1つ目の「日数を減らして、総労働時間も減る」場合です。2つ目の型は給与を変えない代わりに1日の在社時間が延びるため、複業や学び直しのようにまとまった1日が欲しい人には合い、育児や介護との両立を理由に探している人には合いにくいという特徴があります。どの層に来てほしいかで、選ぶ型が変わります。
週4日勤務の給与、3つの型
| 型 | 決め方 | 向いている職種 | 論点 |
|---|---|---|---|
| ① 日数比例型 | 所定労働日数の比で決める。週5日→週4日なら0.8 | 稼働時間が成果に直結する職種 | 分かりやすい。ただし裁量の大きい仕事では「時間で買われている」と映り、優秀層の応募が鈍る |
| ② 役割給型 | 役割・等級で決め、日数では変えない | 経営・事業開発・PdM・専門職 | 週5日の社員との公平感をどう説明するか。目標の水準は週5日と同じにするのが前提 |
| ③ ハイブリッド型 | 基本給は比例、役割・職務手当は据え置き | 管理職・マネージャー | 手当の性質を規程上どう位置づけるか。賞与・退職金の算定基礎に含めるかも決める |
計算例:年収800万円・週5日8時間の募集を、週4日8時間にする
| 型 | 計算 | 週4日での年収 | 時間単価(週5日を1.00として) |
|---|---|---|---|
| ① 日数比例型 | 800万円 × 4/5 | 640万円 | 1.00 |
| ② 役割給型 | 800万円のまま | 800万円 | 1.25 |
| ③ ハイブリッド型 | 基本給700万円 × 4/5 + 役割手当100万円 | 660万円 | 約1.03 |
数字だけ見ると①が「安く採れる」ように見えます。ただ、週4日を条件に職を探している層は、経験も年収水準も落としていない人たちです。640万円の募集は、その層から見ると「同じ仕事を2割引で」という提示になります。一方で②は時間単価が25%上がるので、社内の週5日の社員に対する説明が要ります。③はその中間で、「役割に払う部分は日数で変えない」という説明がしやすい型です。
応募が鈍るのは、型のせいではなく「書いてないから」
私たちは掲載前に、給与の決まり方・制度の対象・評価の扱いを企業に確認しています。そこで多いのが、制度はあるのに、求人票の福利厚生欄に「選択的週休3日制度あり」と一行あるだけという状態です。
この一行からは、給与がどうなるのか、誰が使えるのか、評価や昇格は変わるのかが読み取れません。求職者は書かれていないことを「無い」と判断します。厚生労働省の調査では、時短などの制度を利用した女性正社員・職員が感じた不安は、1位が「収入について」54.2%、2位が「時間内に業務を終わらせること」47.8%、3位が「周りが自分の働けない時間の業務をカバーすること」38.9%でした(日本経済新聞 2026年8月31日朝刊の報道による)。上位3つは、いずれも求人票に書けることです。
出典:日本経済新聞 2026年8月31日朝刊「ダイバーシティ」面が引用する厚生労働省調査。調査名・年次は原典で確認中のため、報道による数値として記載しています。
求人票に書くべき4つのこと
- 給与の決め方。上の3つの型のどれか。「週5日の場合の年収」と「週4日の場合の年収」を両方書くと、比例か据え置きかが一目で伝わります。
- 制度を使える対象。全社員か、特定の職種・等級か、入社時から選べるのか、在籍一定期間後か。在籍者向けの制度をそのまま求人票に書くと、入社時から使えると読まれてしまいます。
- 評価と昇格の扱い。目標を日数で割るのか、週5日と同じ水準を求めるのか。週4日の人を昇格の対象から外すと、優秀層は来ません。
- 週5日に戻れるか。戻れる道があると書くだけで、応募側の心理的なコストが下がります。
4つとも、決めるのは企業です。私たちが求人票のレビューでお手伝いするのは、決めたことが読み手に伝わる書き方になっているかの確認です。
決める前に、顧問社労士と確認しておく論点
給与の型を決めると、連動して確認が要る論点があります。いずれも結論は企業ごとの所定労働時間や規程によって変わるため、ここでは確認すべき点として挙げます。
- 社会保険の被保険者資格。所定労働時間・日数が通常の労働者の4分の3以上かどうかで扱いが変わる基準があります。週4日でも1日の所定時間によって結論が変わるため、確認が必要です。
- 年次有給休暇の付与日数。週所定労働日数と時間数によって、比例付与の対象になるかが変わります。
- 割増賃金の計算基礎。月給を時間単価に割り戻す際の月平均所定労働時間が変わります。
- 賞与・退職金の算定基礎。ハイブリッド型で据え置いた手当を含めるかどうか。
- 就業規則の定め方。週4日を「原則」にするのか「選択制」にするのか。制度を全社で導入しなくても、募集する1ポジションから始めることはできますが、その場合も規程上の位置づけは要ります。
よくあるご質問
週休3日にすると、給与は必ず下がりますか。
必ず下がるわけではありません。勤務日数に比例させる「日数比例型」なら週5日の8割前後になりますが、役割と成果で決める「役割給型」では給与を変えない企業もあります。どちらを選ぶかは企業の設計次第で、法律で決まっているものではありません。
給与を維持したまま週4日にすると、週5日の社員に不公平ではありませんか。
時間単価で見ると週4日の側が25%高くなるため、説明は必要です。役割給型を採る企業は「同じ役割・同じ成果に同じ給与を払う」という考え方を明文化し、週4日の人にも週5日と同じ目標水準を求める形で公平性を担保しています。目標を日数で割るなら日数比例型のほうが整合します。
週4日でも1日10時間にして総労働時間を保つ型は、給与をどう考えればよいですか。
総労働時間が変わらないため、給与は据え置きが自然です。ただしこの型は、1日の在社時間が延びることを受け入れられる人に向いています。育児や介護との両立を理由に週4日を探している人には合いにくいので、どの層に来てほしいかを先に決めてから選ぶ型です。
時短正社員の給与も、同じ3つの型で考えられますか。
考え方は同じです。時短正社員は日数ではなく1日の所定時間を短くする形なので、所定労働時間の比で按分する型が一般的ですが、役割手当を据え置くハイブリッド型を採る企業もあります。いずれの場合も、求人票に「何に比例して、何が据え置きか」を書くことが応募を左右します。
いまの募集条件を入れると、3つの型の年収と評価基準の案が出ます。
週4日 募集設計シート(無料・入力はブラウザ内で完結)。印刷して社内と顧問社労士にそのまま渡せます。求人票の書き方のレビューは、掲載のご契約がなくても無償で承ります。