週休3日や時短正社員の求人票で応募が鈍る原因は、条件が悪いことより、条件が書いてないことにあります。私たちが掲載前に企業へ確認している項目は4つ。給与の決め方・使える対象・評価と昇格の扱い・週5日に戻れるかです。この記事では、よくある求人票の一行をこの4点で書き直した例と、法律で明示が求められる項目との関係、そして探している層に見つけてもらうための置き場所を整理します。
週休3日・時短の求人票に書くべきことは4つ。給与の決め方、使える対象、評価と昇格の扱い、週5日に戻れるか。福利厚生欄の「選択的週休3日制度あり」の一行だけでは、この4つがひとつも読み取れない。
求職者は書かれていないことを「無い」と判断します。厚生労働省の調査では、時短などを利用した女性正社員・職員が感じた不安の上位3つは収入 54.2%・時間内に業務を終わらせること 47.8%・周りがカバーすること 38.9%でした(日本経済新聞 2026年8月31日朝刊の報道による)。3つとも、求人票に書ける内容です。
- 書く場所
- 福利厚生欄ではなく、タイトル・勤務時間/休日欄・給与欄。探している層はこの3か所しか見ません
- 書けること
- 就業規則や個別の合意で裏づけられる条件だけ。決めていない条件は書かず、決めてから出す
- 時短の注意
- 1日の時間を短くする制度しか無いなら「週4日」とは書かない。別の制度です
「制度あり」の一行が、読まれない理由
制度を持っている企業の求人票を見ると、多くは福利厚生欄に「選択的週休3日制度あり」「時短勤務制度あり」と一行あるだけです。書いた側は「伝えた」つもりですが、読み手には3つの壁があります。
- 見つからない。大手の転職サイトは職種・年収・勤務地で探す設計で、勤務日数では絞り込めません。週4日を条件に探している人はフリーワードで「週休3日」「週4日」を引くので、タイトルや勤務時間欄に無いと検索結果に出てきません。
- 読み取れない。「制度あり」からは、給与がどうなるのか、誰が使えるのか、入社時から選べるのか、評価は変わるのかが分かりません。書かれていないことは「無い」か「聞きにくい」に変わります。
- 信じられない。在籍者向けの制度をそのまま書くと、入社時から使えるように読めてしまいます。面接で「実は入社後1年から」と分かると、応募側は条件を隠されたと感じます。
私たちが週4日・時短の求人を掲載前に確認しているのは、この壁をひとつずつ潰すためです。以下の4点は、その確認項目をそのまま書き方に置き換えたものです。
先に、法律で明示が求められる項目を押さえる
求人票には、職業安定法にもとづいて明示が求められる労働条件があります。業務内容、賃金、労働時間と休日、就業場所、雇用形態、試用期間、社会保険の適用、募集者の名称などです(詳細は厚生労働省の資料でご確認ください)。
週4日や時短の募集で注意が要るのは、賃金と労働時間・休日の欄に、週4日・時短を前提にした数字を書くことです。週5日前提の年収と所定時間を書いておいて、面接で「週4日ならこの8割です」と口頭で補うやり方は、明示した条件と実際の条件がずれます。週5日と週4日の両方を募集するなら、両方の数字を並べて書きます。
この記事は一般的な情報提供です。個別の求人票が法令上の要件を満たすかは、貴社の顧問社会保険労務士にご確認ください。
書くべき4つのこと
1. 給与の決め方
3つの型(日数比例型・役割給型・ハイブリッド型)のどれかを、週5日の場合と週4日の場合の両方の数字で書きます。型の違いと計算例は 給与の3つの型 にまとめています。
| よくある書き方 | 年収600〜900万円 ※選択的週休3日制度あり |
|---|---|
| 届く書き方(例) | 年収600〜900万円(週5日勤務)/週4日勤務を選ぶ場合は年収480〜720万円(所定労働日数に比例)。役割手当(年60万円)は日数で変えません |
例は架空です。数字は貴社の規程に置き換えてください。比例か据え置きかが一目で分かる書き方であることが要点です。
2. 使える対象
全社員か、この募集職種だけか。入社時から選べるのか、在籍一定期間後か。制度を全社導入していなくても、募集する1ポジションだけ週4日で出すことはできます。その場合は「この募集は」と主語を限定して書きます。
| よくある書き方 | 選択的週休3日制度あり |
|---|---|
| 届く書き方(例) | この募集は、入社時から週4日勤務を選べます(週5日での入社も可)。対象はこの職種の全等級。制度の全社導入ではなく、このポジションの募集条件です |
在籍者向けの制度で入社時から使えない場合は「入社6か月後から申請できます」と、使える時期を正直に書きます。
3. 評価と昇格の扱い
目標を日数で割るのか、週5日と同じ水準を求めるのか。どちらが正解ということはありませんが、書いてないと応募側は「週4日は評価で不利」と読みます。週4日の人を昇格の対象から外している場合は、それも書きます。優秀層は来にくくなりますが、入社後に分かるほうが損は大きいです。
| よくある書き方 | (記載なし) |
|---|---|
| 届く書き方(例) | 目標は週5日の社員と同じ役割基準で設定します(日数で割りません)。評価・昇格の対象は週5日と同じです |
日数比例型を採る企業なら「目標の量は所定労働日数の比(0.8)で設定します」でも構いません。決めた事実を書くことが要点です。
4. 週5日に戻れるか
戻れる道があると書くだけで、応募側の心理的なコストが下がります。複業や学び直しの区切りで週5日に戻したい人は少なくありません。逆に、一度週4日を選ぶと戻れない制度なら、それも書きます。
| よくある書き方 | (記載なし) |
|---|---|
| 届く書き方(例) | 週5日勤務への変更は、半年ごとの面談で申請できます(変更後の年収は週5日の基準に戻ります) |
戻れる制度が無い場合は書かなくて構いませんが、面接で必ず聞かれる項目なので、答えを用意しておきます。
タイトルと勤務時間欄に出す(見つけてもらう場所)
4点を書いても、福利厚生欄の奥にあると見つかりません。探している層が読む場所は3つです。
- タイトル。「事業開発マネージャー(週4日勤務可・給与は役割で決定)」のように、職種のあとに条件を入れます。「週休3日」より「週4日勤務」のほうが、時間を減らす側の意図が伝わります。
- 勤務時間・休日欄。「週4日勤務(曜日は固定・相談可)・1日8時間・週休3日」と、日数・時間・休日を分けて書きます。総労働時間を保つ型(1日10時間×4日)なら、その旨を必ず書きます。
- 給与欄。週5日と週4日の両方の数字。1で書いたものをここに置きます。
時短正社員の募集は、ここで「週4日」と書かないことに注意してください。1日の所定時間を短くする制度と、勤務日数を減らす制度は別物です。時短なら「時短正社員(1日6時間・週5日)・所定時間の比で按分」のように、日数と時間を具体に書きます。
4daysが掲載前に確認していること
私たちは、週4日・時短の求人をお預かりする前に、次の点を企業に確認しています。求人票に書く4点と、ほぼ同じです。
- 雇用形態が正社員であること(無期雇用)
- 働く時間を減らす形が制度として成立していること(就業規則か運用のどちらかで説明できる)
- 給与の決まり方が説明できること(日数比例か、役割か)
- 制度を使える対象が明確であること
- 副業の可否(可否そのものは問いません。不明のまま紹介しないためです)
求人票の書き方のレビューは、掲載のご契約がなくても無償で承ります。「書いたつもりで伝わっていない」箇所を、探している層の読み方で指摘します。
よくあるご質問
週休3日を「売り」として、求人票の先頭に書いてもよいですか。
書いてよいですし、探している層にはそこが最初に読まれます。ただし「週休3日」とだけ書くのではなく、給与がどうなるか・誰が使えるか・入社時から選べるかを同じ場所に添えてください。条件が見えない売り文句は、読み手には確認のコストに映ります。
週4日にしたときの給与を、まだ決めきれていません。募集を出せますか。
決めてから出すことをおすすめします。求人票に書いた条件は労働条件の明示にあたり、後から変えると信用を落とします。決めるための材料が要る場合は、週4日 募集設計シートで3つの型の年収案と評価の置き方を出してから、社内と顧問社会保険労務士で確定してください。
時短正社員の募集を「週4日勤務も可」と書けますか。
勤務日数を減らせる制度が実際にある場合だけ書けます。1日の所定時間を短くする時短の制度しか無いなら「週4日」とは書けません。両者は別の制度で、求人票にない労働条件を書くことになるためです。時短なら「時短正社員(1日6時間・週5日)」のように、日数と時間を具体に書いてください。
制度は在籍者向けで、入社時からは使えません。どう書けばよいですか。
「入社6か月後から申請できます」のように、使えるようになる時期を正直に書いてください。入口の条件ではないことが分かれば、週4日を条件に探している層は応募しないかもしれませんが、入社後に「使えると思っていた」という認識のずれで早期に離職されるより、ずっと損が小さいです。
いまの求人票を、探している層の読み方で見直します。
求人票の書き方のレビューは無償です(掲載のご契約は不要)。給与の型をまだ決めていない場合は、週4日 募集設計シートで3つの型の年収案と評価の置き方を先に出せます。